9月のある日。
秋めいてきたと思ったら、都内は曇天で蒸し暑い。
天気予報は雨。
車を一路湘南へ走らせる。
とある視察のためだ。
第三京浜を抜け、40キロほど走った先にある湘南は、30度を越える真夏が残っていた。
朝は辻堂でサーフ。
その後、patagonia日本本社を含む3箇所を訪問。
やはりこの企業、普通ではない。エッジが立っている。
もう一社もまた、ご無理をお願いし・・・本当にありがたい。
ここのエッジも、、異常なほどに凄い。
3箇所目は、築70年以上の日本家屋を改造したスペース。
網戸もクーラーもないが、快適。
「場」が与える空気感というものは、理屈では語れない。
その場を切り盛りするのもまた、魅力的な「人」。
“コミュニティ”と言い放ってしまえば今風なのだが、しくみだけではなく、圧倒的な「人」のパワーが介在せねば、そこに息吹は感じられない。結果、無機質なものになってしまう。
この日、都内も30度以上の猛暑日になったらしい。
しかしながら、鎌倉は本当に「風」が気持ちよかった。
鶴岡八幡宮を越え、少し山の奥へ行く。
海からの風が参堂をくぐり抜け、八幡宮を抜け、山へ抜ける。
夕刻、後醍醐天皇の皇子である護良親王を祀った鎌倉宮の境内にて、しばし立ち話。
木々を揺らす少し強めの風が、ざわーっと吹いてきて、僕らを通りすぎる。
信じられないほど爽快な風。
あぁ、どこかに似ているな、と思った。
ハワイだ。
6月、「
ハレクラニ」という最高級のホテルに初めて泊まった。
正直、ファシリティは普通。
しかしこのホテルの価値はそこでない。
「風」である。
部屋、ロビー、レストラン、ラウンジ、レセプション、どこにいても海からの風がどうしようもなく気持ちよく抜ける。僕らはこの設計、この「風」にお金を払っているのだと知る。
再び戻って鎌倉。
この街に魅せられて、東京から移り住む人が増えている。
南方向へ開けた海、そして何よりも「風」。
分かった。
気持ちの良い場所っていうのは、気持ちの良い風が通る場所なんじゃないだろうか。
多分、それは肌で感じる物質的な「風」だけでなく、なにか「気の流れ」のようなものでも良いのかもしれない。
これまた大きなヒントになる気がする。