合宿の打ち上げを、後ろ髪を引かれる思いで退散し、
石野さんと終電に乗り込む。
昨日書いたように、完全に「
オープンマインド」状態に入っていたので、話はファイナンスやエネまでも乗り越えて色々な深い話へ入っていく。
本質は何よりも大事なことであるが、また、「形式」という入口もとても大事なもの。
短時間ではあったが、様々な角度から思慮深い話ができた。
2泊5日でアメリカ〜フランスという、世界一周の海外出張を終えられたばかりなのに、こうして話をできたことは、とてもうれしく、また、石野さんのバイタリティに敬服する。
固い握手を交わし、門前仲町駅のホームで別れた。
東西線の車中、打ち上げ中に聞いて刺激になったこと、閃いたことを、PCを広げて次々と打ち込む。軽い興奮状態にあるのか、タイプが踊る。
ふと気がついたら早稲田駅に着いていた。
さて、これで帰宅。
時計を見ると1:00を回っている。
さぁ、寝まくるぞ!
っというわけにはいかない。
既に数時間後、京葉道路、幕張SAで待ち合わせをしている。
世田谷の
ダイニングカフェ・MARRUのオーナー、板倉宏さん&ノリちゃん夫妻とサーフィンの約束をしているためだ。
9月の頭にも計画していたが、台風で中止になっていた。
なんと今回も台風・・・。
しかし、微妙に進路がそれた。迷わず強行。
台風からの強烈な北東風が吹くと、ホームポイントである九十九里海岸は風向きが合わず、ジャンクコンディションとなってしまう。
こんな時、狙うは、勝浦。御宿・部原海岸。
大時化の九十九里海岸を左目に見ながら一気に房総半島を南下。
やっと勝浦に辿り着くも・・・予想に反してコンディションが悪く、全然ダメ。
さてどうしたものかと、更に南下。
走りに走り、気付いたら南暴走、いや南房総は鴨川に到着。
・・・まだダメ。
更に和田まで南下することに。
すると、なんだか良さそうな波が立っている。
房総半島を南下して行くと、御宿を境に、水の色が一変する。
都心から約150km、和田まで下ると、そこはもう関東近郊とは思えないほど透き通った水色の海。海。海。
ここまで来た甲斐があった。早速入水。
宏さん、ダイニングカフェの立上げ等で忙しく、ほぼ2年ぶりのサーフィンとのこと。
入念に準備体操を行う。
一方、奥さまはサーフィンを始めてまだ間もない。
必然的にやさしいポイントを入念に探して入水したのだが、入水して見ると・・・予想以上に、波がデカい。
僕ら男性陣は何ともないが、これはもしかして、ビギナーにはハードかも・・・
そんな不安が一瞬、頭をよぎる。
しかし、ここを乗り切れれば必ず得るものがある。
彼と僕の2人で、彼女を励ましながらゆっくりとGetting Out、沖へ。
あれだけ荒れた海で、沖へ出ること。
ビギナーにはキツい。
実際、諦めてしまう人がほとんどだ。
だが、それを乗り越え、アウト(沖)に出ることができた時、そこには大きな、乗り応え満点の波が待っている。
美しいものには棘がある。
危険は伴うが、乗ることが出来れば間違いなく、いい思いができる。
実は僕も、一度はムリかもしれないと思った。
それでも彼女は、くじけそうになりながらもアウトへ出てきた。
色々なものを乗り越えて。
・・・感動した。
EXTREMEと呼ばれるスポーツで、本当に大事なもの。
それは、技術でもなんでもなく、「挑む心」。
どんなに技術があっても、この心が少しでも折れると、プロの選手は使い物にならない。
大波にチャレンジすることもできなくなり、当然ながら、おいしい思いをすることもない。
そして・・・見る者に感動を与えることもない。
大きく明暗を分けるターニングポイントである。
台風のハードコンディションで沖に向かってパドルすることは、ハッキリ言って、ただの修行である。
しかも真冬であれば、更に辛い。
傍から見れば、ただのマゾかもしれない。
しかし・・・そんな苦難を乗り越えた者だけが得られるモノがある。
「サーフィンは人生そのもの」と皆が口を揃えて言うのは、これが理由なのだ。
挑む彼女の姿に、そんなことを思った。
無事に沖に出た彼女は、その後、人生の中で一番のビッグウェイブに乗った。
その後、車中では、海の話、カフェを立ち上げるまでの話、ウェブの話、人生の話なんかをゆっくりしながら帰途につく。
大波に洗われ、体中の毒が抜けたような爽快感と疲労感が非常に心地よかった。